利息制限法における遅延損害金の上限は?

利息制限法における遅延損害金の上限は?/用語集

債務が遅れると発生する遅延損害金。

遅延利息や延滞利息とも呼ばれるこの遅延損害金ですが、一体どのようにして決められているのでしょうか?

そこで今回は、遅延損害金の規定についてまとめてみました。

遅延損害金とは

遅延損害金とは、決められた支払日までに返済をしなかった場合に発生する損害賠償金のことです。

金銭貸借契約を結ぶ際の契約項目には必ず返済期日が定められています。

この返済期日の約束を守らなかった場合、債務不履行となり、損害賠償を負うということですね。

遅延損害金の算出方法

そもそも、損害金というのは、損害に対する賠償金になりますので、発生した損害を具体的な金額として算出しなければなりません。

しかし、遅延損害金の場合はそれを自分たちによって勝手に決められるわけではありません。

利息制限法では、遅延損害金利率の上限規定を設けており、その上限利率を貸付の制限利率に対する1.46倍までと定めています。

もちろん、この定められた制限よりも少ない利率の契約内容もありますが、この制限を上回るような条項であれば、法律上無効とされます。

では、1.46倍という規定により、遅延損害金の具体的な利率はどのようになるのでしょうか?

利息制限法では、貸付金が10万円未満の場合の上限年率は20%までと定めています。この20%の1.46倍にあたる29.2%が、遅延損害金として定められる上限利率になります。そのため、貸金元本によって上限が変わります。

つまり、10万円以上100万円未満の場合の上限年率は18%なので、損害金としての上限利率は26.28%になります。

100万円以上の場合の上限年率は15%なので、損害金としての上限利率は21.9%になります。

借金が10万円未満の場合
年率(20%)×1.46 = 29.2%
借金が10万円以上100万円未満の場合
年率(18%)×1.46 = 26.28%
借金が100万円以上の場合
年率(15%)×1.46 = 21.9%

利息と遅延損害金の違いは?

さて、遅延損害金は利息と同じように考えてしまいがちですが、同じではありません。

利息は、遅延損害金のような損害賠償金ではなく、期限前に発生する元金に対する利用料のようなものです。

つまり、支払い期限前に発生するのが利息で、期限後に発生するのが遅延損害金なので、同じ元金に対して両方が同時に発生することはありません。

さらに、利息は利息を取ることに関しての約定がなければ請求する事ができません。

しかし、遅延損害金は発生した損害の賠償になりますので、もし、約定がなくても法定利率の遅延損害金の請求をすることができるのです。

遅延損害率の約定がない場合

さて、上記で遅延損害率の約定がない場合でも法定利率の遅延損害金を請求することができると説明しましたが、これは民法419条によって定められています。

ただし、法定利率よりも高い率の利息の約定がある場合は、その約定利息と同率の遅延損害金を請求することができます。

というのも、遅延をしないで支払う利息より、遅延をして支払う損害金の方が低い利率で済んでしまうからです。

そのため、あらかじめ約定を決めておけば、法が定める上限の範囲内で、法定利率を上回る遅延損害率を定めることができるので、貸金業者はこの約定利率を必ず定めている事が多いでしょう。

カテゴリー 用語集
作成日時 2017-08-08 20:54:34
更新日時 2017-08-13 14:56:17
闇金業界で使われる専門用語「キリトリ」。 キリトリと聞けば「キリトリ線」など連想させますが、闇金の用語として使用されているキリトリという言葉の意味は何なのでしょうか? そこで今回はこの「キリトリ」についてまとめてみました。 キリトリとは? 闇金用語の「キリトリ」とは、闇金業者がおこなう人権を無視した借金の取り立てのことで、債権回収業務になります。 また、取り立て…
近年ニュースなどで話題となっているマイクロファイナンス。 貧困者向けの融資というのはなんとなく分かりますが、具体的にはどのようなサービスになのでしょうか? そこで今回はマイクロファイナンスの詳しい概要や批判、問題点について簡潔にまとめてみました。 マイクロファイナンスとは? さて、マクロファイナンスとは、その名の通り、小口金融(マイクロファイナンス)の総称になります。…
無登録で高い金利、違法な取り立て・嫌がらせといった法律など一切無しの貸金業闇金。 そんな闇金は顧客をつけるため、ダイレクトメールなどを利用して勧誘をおこないます。 その際、個人情報などの情報は一体どこで入手しているのでしょうか? 実は闇金に情報を売買・提供する名簿屋という業者が存在します。 そこで今回は、この名簿屋についてまとめていきます。 名簿屋とは? …
貸金業の規制等に関する法律、貸金業規制法。 出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律、出資法。 これまで貸金業についてこれらの規定が適応されていましたが、深刻化する闇金問題を対処するために、第156回国会(平成15年)においてヤミ金対策法(貸金業規制法及び出資法の一部改正法)が成立されました。 このヤミ金対策法によって闇金のような悪質な業者の排除を徹底するようにな…
刑事事件と同じように、借金にも時効というものが存在します。 つまり、借金をしても一定期間返済をしなければ時効になり支払い義務がなくなるのです。 ではそんな借金の時効を成立させるにはどのような条件が必要になるのでしょうか? 今回はこの借金の時効「消滅時効」の援用についてまとめてみました。 消滅時効とは? 消滅時効とは、一定期間行使されない場合、権利を消滅させる制度…
貸金業登録番号や店名を偽装するなど、消費者を勧誘するためなら手段を問わない闇金業者。 そんな闇金業者の中でも、最近は信用を得るために有りもしない架空団体を作り上げ、そこに加入することであたかも健全な貸金業者であるかのように装う悪質な業者が存在するんです。 そのため、闇金の手口に騙される消費者が後を絶たず、問題になっているんです。 そこで今回は、実際には存在しない金融協会や支…
闇金の被害に合った時や何かしらの問題が起きた時、弁護士や司法書士の存在は非常に心強いですよね。 そんな、様々な問題を解決してくれるイメージのある弁護士や司法書士ですが、この二つの職業の明確な違いって何なの?と思っている方は多くいるのではないでしょうか? たしかに、闇金に関する問題一つを取り上げてみても、インターネット上では弁護士と司法書士どちらにも相談する事が可能となっているので…
銀行からの借り入れや奨学金の申請時など、金銭契約を結ぶ時に必ずと言って良いほど必要になる保証人。 この保証人と似た言葉で、連帯保証人と呼ばれるものも存在します。 これは、どちらも借入者が契約通りに支払いや返済を行わなかった場合に、債務が生じる人の事を指すんですが…、保証人と連帯保証人の違いをいまいち理解していない方も多く存在するのではないでしょうか? そこで今回は、保証人と…
年々、被害者数が減ってきてはいるものの、闇金業者の巧妙な手口により未だ後を絶たない闇金利用者。 様々な情報サイトを見ていると、闇金業者がターゲットとする人物には一定の特徴などがあり、そこに付け入って闇金の手に染めさせるという情報を目にします。 それを逆手に取り、闇金業者の手口や勧誘に引っかかってしまいそうな利用者の特徴を把握しておけば、闇金に手を染める確率も低くなってきますよね。…
闇金の歴史とは 近年、逮捕されるニュースなど見かける機会も多くなった闇金。 実は、古くから存在していたということは知っていますか? 闇金を含む貸金業は、「お金を貸してその利息で利益を得る」というビジネスで、その内容だけを見ると銀行も闇金も仕組みが大きく変わることはありません。 この貸金業の仕組みですが、古くは江戸時代から始まっているとも言われています。 闇金…

地域別