違法な貸金業者闇金にお金を渡してしまった…。
こういった闇金から借入の場合、その貸付行為そのものが違法なので、元本も含めて利息など一切返済する必要はありません。
これまでに支払ったお金を取り戻すことはできないのでしょうか?
そもそも無効になるのであれば、返済したお金も戻ってきてほしいですよね。
そこで今回は、闇金に支払ったお金を取り戻す方法についてまとめてみました。
そもそも、闇金からお金を取り戻す事ができるのかといったところですが、結論から言うと、闇金に対してすでに返済してしまったお金も利息や元本を含めた全額を返還させる権利があります(最高裁判所平成20年6月10日判決)。
ただし、090金融など携帯電話のみで営業している実態が不明な場合は、交渉で取り戻すことは困難なため、警察へ被害届を提出したり、裁判所へ訴訟提起などの法的手続を取る必要があります。
また、闇金の返済方法が銀行振込であった場合は、「犯罪利用預金口座等に係る資金による被害回復分配金の支払等に関する法律(振り込め詐欺救済法)」により分配金の支払を受けられる場合もあります。
とはいえ、自分で返還請求することは難しいので、弁護士に相談し、依頼するようにしましょう。
Xは、平成14年当時、北海道、札幌市内の病院に看護師として勤務していたが、複数の金融業者から高利の借り入れを重ねていた。
その返済に窮していた3月頃、電信柱の広告でYを知り、3月14日、Y事務所において借金の申し込みをした。
Yは、Xの身上・勤務先等についてXから聴取したうえで、その日のうちに、Xに対し2万5000円を貸し付けた。
その際、返済期限はXの給料支給日の同月25日とし、返済金額を5万円と定め、返済方法は持参払いとし、また、返済予定日の前日には、XからYに対し電話で連絡すべきことを要求した。
Xは、平成14年3月14日から平成15年1月31日までの間に、15回にわたり合計58万5000円をYから借り入れ、この期間中に、10回にわたり合計108万9000円を支払った。
Yは、貸金業法に定める登録貸金業者であるにもかかわらず、Xとの取引において所定の契約書面や領収証等の交付をしなかったばかりか、Xから受領した金額は、出資法5条所定の利率を大幅に上回る超高金利の金額であって、同法において刑罰の対象とされるものであった。
Yによるこれらの貸し付けは、それを呼び水にしてXから法外な超高金利による多額の金員を受領することを目的とするものであって、金銭消費貸借契約に名を借りた悪質な犯罪行為であり、不法行為に当たる。
そして、Xは、金銭消費貸借契約に名を借りた悪質な犯罪行為により、Yに対し、合計108万9000円の金を支払わされ、同額の損害を被った。
本件は、Yから多数回にわたり金員を借り入れ、その返済をしてきたXが、Yは、貸金業の規制等に関する法律に定める貸金業者であるにもかかわらず、Xとの取引において所定の契約書面や領収証等の交付をしなかったばかりか、年利1200パーセントにも及ぶ著しく高率の利息を受領するなどしたとして、Yに対し、不法行為または不当利得に基づいて、XがYに支払った金員の総額108万9000円全額についての損害賠償または不当利得返還等の支払いを求めたものである。
他方、Yは逆に、Xに対し、4回分の貸金合計28万1000円の返済ならびに各貸付日から支払い済みまでの年29.2パーセントの割合による約定利息および遅延損害金の支払いを求めた。
原判決では、Yの請求については、これをいずれも棄却した。Xの請求については、一部を認容して、その余りを棄却したので、Xがこれを不服として、返済した金銭全額の返還を求めて控訴したものである。
Yは、Xとの間で金員の授受をしていたことは認められるが、それは、貸金業法や出資法をまったく無視する態様の行為であり、まさに無法な貸し付けと回収であって、貸金業者として到底許されない違法行為であるというべきである。
法は、ある程度の高利による消費者金融を許容してはいるが、本件のように出資法の罰則に明らかに該当する行為については、もはや、金銭消費貸借契約という法律構成をすること自体が不適切である。
Yが支出した貸金についても、それは貸金に名を借りた違法行為の手段に過ぎず、民法上の保護に値する財産的価値の移転があったと評価すべきではない。
したがって、本件において、XがYに支払った108万9000円は、その全額がYの不法行為に基づく損害であるといい得るとともに、YからXに交付された金員については、実体法上保護に値しないのみならず、訴訟法上の観点からみても、Yに利益になるように評価することが許されないものというべきである。
このことは、例えば、通常の取引における債権者の不注意に基づく過失相殺の主張が許されても、当該取引が債務者の詐欺や強迫による場合には、当の欺罔行為者または強迫行為者である債務者からの過失相殺の主張を許さないものとすることと同様に、法の実現の場面における各行為や主張の評価として、民法および民事訴訟法の前提となっているものと解することができる(民法第1条、第91条、民事訴訟法第2条)。
カテゴリー | 相談・QA |
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作成日時 | 2017-08-08 12:52:44 |
更新日時 | 2017-08-13 14:56:44 |